トップページ職場イジメから自由になるための本・サイトを紹介!>「論語物語」(下村湖人著)を読む

「論語物語」(下村湖人著)を読む

「老子」「荘子」に比べ、規則的で固いイメージのある「論語」。しかしそこには、人間くさい孔子の含蓄のある言葉がたくさんあふれています。下村湖人は、生涯をかけて「論語」を読んだ人物。彼の「論語」愛を職場イジメに苦しむ私たちにも注いでもらいましょう。

「考え方」よりも「教訓」を学べる本

 インターネットやテレビでも人の人生を変えるような教訓が得られることもあるでしょう。しかし、多くの本を読むことはきっと読んだ人の人生に高い確率で大きな影響を与えるでしょう。

 著名な教育論者としても有名な齊藤孝さんの「貧乏のススメ」にも紹介されていましたこの論語物語 は、人生とは?私の進むべき道とはなんだ?などと根本的なことを悩んでいる人にぜひとも読んでいただきたい本であります。

 「論語」と聞くと、頭が良くて理屈っぽい人達が激論やうんちくを話しているだけのようなイメージを持ってしまうかもしれません。しかし、そこに出てくる著名な弟子たちは実に人間臭く、煩悩にまみれ、苦しんでいるのです。そこには聖人の面影はほとんどありません。

 孔子の高弟たちの、本当の姿は分かりません。しかし論語を生涯学び続けた下村湖人の学んだ証によって、彼らの姿や考え方が現代によみがえり私たちの心で共感出来るようになったのです。このプレゼントを私たちは読まない手はないでしょう。

現実社会のしがらみの中で苦悶する孔子を生き生きと描く。職場イジメに苦しむ方にも共感できる。

 私自身、自分の人生の意味が分からず、ただ闇雲に生活のために会社に行って、私と同じく大した考えもない上司の独断に右に倣えで時間を持て余していました。しかし、この「論語物語」と「荘子・第1冊・内篇」を読んで、自分の勉学の足らなさを知ったのです。

 老子や荘子の教えは無為自然・万物斉同に現れているように、問題に積極的に飛び込みなんとかしようという考えではありません。しかし、論語物語に出てくる孔子の考えは、世捨て人的な生き方を潔しとせず、苦悶の中で身を磨くことを重視しています。

 名君主を求めて各国を渡り歩く孔子一行をあざ笑う世捨て人達に対して、「卑怯者か、徹底した利己主義者の進む道」に思えてならない、と弟子たちに語るシーンがあります。

 無為自然の本質は世捨て人とは違うでしょうが、その違いを理解しがたい私たちにしてみれば、両者を読んでしっくり来る方を読みこむといいのではないでしょうか?